【為替レートが動く仕組み】
さて、これらの円高や円安、ドル高やドル安は、どうして起こるのでしょうか。
1円あたりの価値が上がったり下がったりするなんて、1円玉を見ていてもなかなかピンとこないでしょう。1円玉は1円玉だろう、と。
では逆に質問しましょう。
「1円玉には1円分の価値がある」と思う根拠はどこにあるのでしょうか?
たとえば、お金なんて一度も触れることなく自給自足で生活しているアフリカの少数部落の人々に、1円玉を見せたとします。彼らにとっては、そんなもの何の価値もないアルミニウムの塊です。そんなものに価値があるなんて、彼らのうち誰が信じるでしょうか。
そう、ある通貨が価値をもつのは、その通貨が流通している範囲に住む人々が「その通貨には価値がある」と信じているからなのです。
「このアルミニウムの塊に1円分の価値がある」とみんなが思い込んでいるから、1円玉を食べ物と交換したり、服を1円玉と交換したりできます。
だからお金は信用そのものです。信用がなくなれば、あっという間に1円玉は金属の塊にすぎなくなってしまいます。そんなもの何の価値もない、と言われておしまいです。
ではもうひとつお聞きします。
仮に日本が、今にも滅びそうだとします。自分が持っている日本円をどうしますか?
戦争だか経済危機だか天変地異だかわかりませんが、明日には日本がなくなってしまうかもしれません。
すると、1円玉の価値を信じる人々や、信じる人がいる地域がなくなってしまいます。今持っている1円玉や1万円札は、ただのアルミニウムの塊、福沢諭吉が印刷された紙切れでしかなくなってしまいます。
だったら、今すぐにでも円をドルに換金したくならないでしょうか。
1円玉が1円の価値を持つなんて、もう信じられない、だったらもっと信用できるお金がほしい。アメリカはそうそう滅びないし信用できるだろうから、ドルだったらこれからも通貨として通用するだろう。
だから、今持っている日本円を売って、かわりにドルを買いたくならないでしょうか。
このように、信用がなくなった通貨は、売られてしまいます。その代わりに、信用できる通貨がたくさん買われます。
するとどうなるでしょう。
あとは簡単な話です。買いたい人がいない商品は、値引きをしてでも売りたいので、値段が低くなります。買いたい人がたくさんいる商品は、多少高くてもみんな買うので、値段が高くなります。
だから、円がたくさん売られると円安になります。円を他の外貨に換金するときに、よりたくさんの円が必要になります。
円がたくさん買われると円高になります。円に換金する時に、よりたくさんの外貨が必要になります。
これは別の通貨でも同じことです。
まとめると、ポイントは二つ。
1.お金は信用である。信用をなくした通貨は売られて、信用のある通貨が買われる
2.買われる通貨は価値が上がる。売られる通貨は価値が下がる
お金の信用が増えたり減ったりする要因はたくさんあります。その国の経済状況の変化、戦争への突入、大災害への遭遇。
これらの要因が生じるたびにお金の信用は微妙に増したり減ったりして、そのたびに通貨の価値も高まったり低まったりします。
それに合わせて、為替レートも上下するのです。
これが、為替レートが常に変動する理由です。
ちょっと長くなってしまいましたが、この変動の要因がわかっていれば、為替レートの動きをある程度なら予測できるようになります。
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